「ChatGPTとClaudeって、何が違うんだろう」
ニュースを見ると、今日もAIの話題が出てきます。OpenAIにGemini、Fableにトークン。先月覚えた名前の横に、もう新しい名前が並んでいる。一つずつ調べているうちに、全体がどうなっているのか分からなくなってしまう。
そんな経験をした人は、少なくないと思います。
なぜ、AIの話はこんなに分かりにくいのでしょうか。
AIの名前は、車と同じ三種類に分けられる
車にたとえると、すっきりします。
トヨタというメーカーが、アルファードという車種を作っていて、その中に「X」「Z」「エグゼクティブラウンジ」というグレードがある。私たちは車の話をするとき、この三種類の名前を自然に使い分けています。
AIの名前も、まったく同じ三種類に分けられます。
| メーカー | 車種 | グレード(上が最上級) |
|---|---|---|
| トヨタ | アルファード | エグゼクティブラウンジ/Z/X |
| Anthropic アンソロピック | Claude クロード Claude Code* | Fable/Opus/Sonnet/Haiku |
| OpenAI オープンエーアイ | ChatGPT チャットジーピーティー Codex* | Astra/Sol/Luna |
| Google グーグル | Gemini ジェミニ Antigravity* | Pro/Flash/Flash-Lite |
* 各社のAIエージェント(後で説明する「自動運転」にあたる車種)/AIは2026年10月時点
ChatGPTとClaudeの違いは、メーカーの違いです。トヨタとホンダの車が違うのと同じことです。そしてFableやAstraは、それぞれの最上級グレードにあたります。
名前の後ろにつく「5.5」や「6」といった数字は、年式のようなものです。数か月ごとにモデルチェンジがあり、そのたびに数字が上がります。
全体を見失う原因は、言葉の多さではなく、種類の違う名前が区別されずに並んでいることにあります。ニュースが「最新のFable 5.1が」と書くとき、それは車種ではなくグレードの話です。三種類の区別がつけば、知らない名前が出てきても「これはメーカーか、車種か、グレードか」と置き場所を決められます。
トークンは、スマホのギガ
もう一つ、よく出てくる言葉が「トークン」です。
これは、スマホのギガにあたります。AIに文章を読ませたり書かせたりするたびに、少しずつ減っていく単位です。長い資料を丸ごと読ませれば多く減り、短い質問なら少しで済みます。
有料プランに「使える量」の上限があるのも、ギガと同じ仕組みです。そして車と同じく、上のグレードほど、同じ距離を走るのに多くのギガを使い、費用も高くなります。
毎日の短いやりとりなら、最上級グレードでなくても十分なことが多い。普段の買い物に、エグゼクティブラウンジでなければならない理由はありません。
AIエージェントは、自動運転
最近よく聞く「AIエージェント」は、自動運転にあたります。
これまでのAIは、助手席で道を教えてくれる人のようなものでした。ハンドルを握るのは、あくまで人です。
AIエージェントは、そのハンドルの一部をAIに預ける使い方です。ファイルを開き、書き直し、確かめるところまで、AIが自分で進めます。先ほどの表で*を付けたClaude CodeやCodex、Antigravityが、各社のAIエージェントにあたります。
ただ、自動運転にも段階があります。ブレーキを手伝うだけのものから、決まった道なら任せられるもの、すべてを任せられるものまで。どこまで任せるかは、技術が決めるのではなく、乗る人が決めることです。
任せる範囲は、自分で引いてよい
私自身も、日々の事務作業でAIエージェントを使っています。
たとえば帳簿の修正では、AIが直す手順と見込みの数字を用意し、実行のボタンは私が押す、という分担にしています。押す前に中身を読み、押したあとに数字を突き合わせます。
それでも、AIが自信を持って間違えることはあります。先日も、手元のメモに書いてあることを「どこにも書かれていない」と言い切られ、確かめないまま外に問い合わせてしまいました。
だからこそ、任せる範囲は、AIの性能ではなく、間違えたときに取り返しがつくかどうかで決めています。
まずは、自分の車を確かめる
最初の一歩は、とても小さくて構いません。
いま自分が使っているAIの画面を開いて、「メーカー」「車種」「グレード」を一つずつ確かめてみてください。多くのAIは、画面の上か入力欄の近くに、グレードの名前が表示されています。
それが分かるだけで、ニュースや人の話が、自分の使っているものとつながって聞こえるようになります。
運転席に座るのは、誰か
車を選ぶとき、私たちはメーカーを選び、車種を選び、グレードを選びます。そして最後に、誰が運転するかを決めます。
AIも同じです。名前の置き場所が整理できれば、残る問いは一つだけです。どこまでを、AIに任せるか。
まずは、自分の使っているAIのグレードを、確かめるところから始めてみましょう。